1973年、F.スコット・フィッツジェラルドの不朽の名作小説「グレート・ギャツビー」を原作とした映画「華麗なるギャツビー」が公開されました。監督は、「卒業」「ボニーとクライド」といった傑作を生み出したフランシス・フォード・コッポラ。当時まだ20代だったロバート・レッドフォードが、謎の富豪ジェイ・ギャツビーを演じ、その圧倒的な魅力と悲恋物語は、多くの観客を魅了しました。
この映画は、1920年代のアメリカ東海岸、ロングアイランドを舞台にしています。第一次世界大戦後、経済が急速に発展し、ジャズ音楽やダンスが流行する華やかな時代、いわゆる「ジャズエイジ」。しかし、その裏には、貧富の格差や社会的不平等といった問題も潜んでいました。
物語は、実直で平凡な青年ニック・キャラウェイが、隣に住む謎の富豪ジェイ・ギャツビーに出会るところから始まります。ギャツビーは、豪華な邸宅を所有し、毎週末には大規模なパーティーを開催していますが、その正体や過去については謎に包まれています。ニックの目を通して、徐々にギャツビーの過去が明らかになっていきます。彼は、かつてニックの従妹デイジーと恋に落ちたものの、貧しさゆえに彼女を失いました。そして、再びデイジーを手に入れるため、莫大な財産を築き上げたのです。
しかし、デイジーはすでに裕福な男と結婚しており、ギャツビーの想いは叶いません。デイジーの夫トムは、冷酷で嫉妬深い男で、ギャツビーの存在を快く思わずに、彼らを引き裂こうとします。そして、悲劇的な結末へと突き進んでいくのです。
「華麗なるギャツビー」の魅力
この映画の魅力は、何と言ってもその映像美にあります。コッポーラ監督は、当時のジャズエイジの雰囲気を完璧に再現しており、華やかなパーティーシーンや、デイジーの白いドレスが印象的なダンスシーンなどは、まさに絵画のような美しさです。また、レッドフォードのジェイ・ギャツビーは、そのカリスマ性と悲哀あふれる演技で観客を魅了します。
さらに、この映画は、アメリカン・ドリームとその裏にある暗部を描いています。ギャツビーが手に入れたのは、あくまでも物質的な富であり、真の幸福を得ることはできませんでした。彼の悲劇は、夢を追うことの危険性を示唆していると言えるでしょう。
登場人物紹介
役名 | 俳優 | 役柄 |
---|---|---|
ジェイ・ギャツビー | ロバート・レッドフォード | 富豪で、デイジーに恋をしている |
ニック・キャラウェイ | サム・ウォーターストン | 実直な青年で、物語の語り手 |
デイジー・ブキャナン | ミア・ファロー | 美しい女性だが、心が複雑 |
トム・ブキャナン | ブルース・ダーン | デイジーの夫で、冷酷で嫉妬深い |
映画製作について
「華麗なるギャツビー」は、1970年代に多くの映画が製作された中では、比較的製作費が高額でした。豪華なセットや衣装、そして当時のスター俳優を起用したため、製作費は約650万ドルにのぼりました。しかし、興行収入は製作費を上回り、大ヒットとなりました。
この映画の音楽も魅力的です。ジャズ時代の代表的な曲が使われており、映画の雰囲気を盛り上げています。特に、ジョージ・ガーシュウィン作曲の「ラプソディ・イン・ブルー」は、ギャツビーの悲恋を象徴する名曲として知られています。
まとめ
「華麗なるギャツビー」は、ジャズエイジの華やかさと裏にある社会的不平等、そして夢と現実の対比を描いた、永遠の名作です。ロバート・レッドフォードの圧倒的な演技力と、フランシス・フォード・コッポラ監督の映像美、そしてジョージ・ガーシュウィンによる音楽は、観客を深く感動させます。ぜひ一度ご覧になってください。